【施設建築編・病院】地域医療の核となる医療法人として回復期病床の充実化を実現し、よりきめ細かな包括ケアを目指す
医療施設 洛西シミズ病院 回復期リハビリテーションセンター(京都府京都市)
2019-02-18

グループ病院全体の病床再編成を行い地域待望の回復期リハビリテーション施設を開設
◆事業展開
また、清仁会さまの特色として挙げられるのが、4つの病院それぞれが専門性が高い医療の得意分野を確立していること。脳神経外科を中心とする高度急性期病院として24時間の救急対応を行うシミズ病院、整形外科の急性期医療から始まり回復期として整形外科疾病などの在宅復帰機能を担う洛西シミズ病院、大学医学部付属病院を起源とした184床(一般病床108床・地域包括ケア病床35床・医療療養病床41床)を持つ洛西ニュータウン病院と、4病院中3病院は半径1.5km圏内での機能分化を効果的に図りつつ、連携を深めることで多くの患者様一人ひとりに総合的なケアを実現されています。
シミズ病院グループ様の多くの拠点が置かれている京都市西京区や亀岡市、南丹市、福知山市では、かねてより回復期リハビリテーション病床の不足が問題視されており、地域のニーズも日増しに高まる状況でした。清仁会さまでも、これに対応すべく、整形外科の実績が豊富な洛西シミズ病院の一般病床の一部を回復期リハビリテーション病床に転換することにより平成25年に37床の運用を開始されました。しかしながら常に満床状態となり、他の医療機関はおろか同法人内の要請にも十分に応えることができなかったといいます。
こうした状況を踏まえ、清仁会さまでは、地域において最も高い医療ニーズである「回復期リハビリテーション病床の充実」を積極的に取り組まれることとなりました。洛西シミズ病院の敷地内に、病床と高いリハビリテーション機能を備えた新たな施設の建設を計画。病床に関しては、同法人内の他病院から高度急性期対応の一般病床の一部を移管し転換することとし、計100床の回復期リハ病床を確保されました。これにより法人全体の病床再編にもつながることになりました。
計画に際しては、建設会社数社に提案を依頼。その中で複数の提案要素が決め手となり大和ハウス工業にご依頼いただくこととなりました。平成28年4月に完成した「洛西シミズ病院 回復期リハビリテーションセンター」は、100床の回復期リハビリテーション病床をはじめ、4階すべてを活用した充実のリハビリは、屋内・屋外を有機的に連動させた画期的な構造となっています。
◆課題
THEME-1
従来から「整形外科・リハビリの洛西シミズ病院」として地域に広く認識されており平成25年に37床の回復期リハビリテーション病床を設けたものの、予想以上に地域の医療ニーズは高く、2次医療圏域全体の慢性的な不足の解消までは至らなかった。
THEME-2
京都・洛西地区にそれぞれ急性期・回復期・療養と異なる病床を持つ3病院を展開され、法人内における病床機能の明確化を進めてこられた清仁会さま。病院間の連携を深め、患者さまを在宅復帰までトータルにサポートするためにも回復期の充実を図る必要があった。
THEME-3
2025年に向け、病床機能の明確化・厳格化が進む中、全国的にも増加が見込まれる回復期リハビリテーション病床。同法人への他の医療機関からの要請や期待度が高かった。
◆計画のポイント
POINT-1 敷地内のスペースを効果的に活用した施設計画
敷地内には、洛西シミズ病院さまの病棟と同法人が運営するガンマナイフセンターや介護老人保健施設が開設されており、それらの施設と効果的に連携するため、同一敷地内にリハビリテーション病棟の建設を計画されました。1階部分は既存施設と通路でつながっており、患者さまやご利用者さま・職員の利便性が考慮されています。
POINT-2 こだわりの詰まった充実のリハビリテーションエリア
今回、清仁会さまが最もこだわられたのがリハビリテーションエリア。「質の高いリハビリテーションの提供」への思いをカタチにすべく、4階には室内と屋外、さらに屋上にもリハビリエリアを設けられました。
POINT-3 近隣大学の協力による館内のカラーコーディネート
医療を通じ、長年地域とのつながりを大切にしてこられた医療法人清仁会さま。回復期リハビリテーション病棟の新設にあたっては、近隣の京都市立芸術大学ビジュアルデザイン専攻の大学院生や教授をはじめとしたご関係の方々の協力を仰ぎ、快適さを追求した内装カラーデザインやサインデザイン等を新たな試みとして採用されました。
一法人で広範な医療区分をカバーし地域における医療貢献度をさらに高める
◆インタビュー
シミズ病院グループ 医療法人清仁会 洛西シミズ病院 院長 石津恒彦様
医療法人清仁会 理事・事務局長 小林全弘様
なかでも洛西シミズ病院は、京都で初のニュータウンである「洛西ニュータウン」の発展に伴う地域の人口増加に応えるため、昭和63年に開設。当初より、地域における医療ニーズの高かった整形外科に取り組み、さらに京都府内でも1・2を争う脳神経外科の手術実績を持つシミズ病院との連携で、高度急性期病床の退院後の受け入れ先として機能するなど、長きに渡り地域に貢献してきました。
しかし、回復期リハビリテーション病床数といった物理的な規模の観点から、当法人のみならずこの洛西地区全体を見ても、大きく不足している状態が長く続いていました。昭和51年に入居が開始された洛西ニュータウンも高齢化が進んでいます。地域の皆さまの健康を思えば、100床規模の回復期リハビリテーション病棟の整備は急務だったのです。
今回、100床の回復期リハ病床を確保するため、各病院の病床を整理・調整。法人全体の病床を再編成することによって誕生した「洛西シミズ病院回復期リハビリテーションセンター」は、その名の通り当法人の回復期ケアの中核となる施設です。もちろん、高度なリハビリテーションの効果をより高めるために、施設計画にもこだわりました。特に、リハビリテーションフロアの4階は、ガラス張りの明るい室内空間で開放的な気分を演出したり、ときには屋外スペースや屋上で眺望を楽しみながらと、気持ちよく在宅復帰のためのリハビリ治療を受けてもらうことを重視し、患者さまの精神面にも良い効果が表れることも期待しています。
さらに今回、新たな試みとして、近隣にある京都市立芸術大学とのコラボレーションにも取り組みました。ビジュアルデザイン専攻の教授をはじめとした大学院生たちによる内装カラーデザインやサインデザイン等を館内の随所に施しました。私たちがイメージしがちな医療の現場とは異なる、斬新な雰囲気に仕上がり、とても満足しています。回復期ですから、「病院でも住まいでもない空間」になっていることが、「1日も早く自宅に戻りたい」と思っている患者さまにある種の和みを提供し、高い評価を頂いております。
平成28年4月のオープン後2ヶ月で、既に病床稼働率は8割を超えています。法人内の他病院のみならず、地域の医療機関からも多くのご活用をいただき、注目度の高さを実感しています。また、スタッフに関しては、多くの新規採用の必要性がありましたが、内覧会などを通して予想以上の就職希望者に恵まれ、意欲旺盛な人材採用が実現できました。
これにより当法人には、「高度急性期」に始まり「亜急性期」「回復期」「在宅」「福祉」「慢性期」「終末期」「看取り」に至るそれぞれの核となる施設が揃いました。医療・介護・福祉を取り巻く環境は目まぐるしく変化を続けます。今後は地域医療構想を見据えながら、地域の医療・介護施設と連携をより一層強化しながら、地域の実情を踏まえた上で法人内での大胆かつ迅速に病床区分の再編成を計画・実行していくことが重要だと考えています。
◆大和ハウス工業を選び、ご満足いただいた点
・リハビリテーション室を屋内・屋外に分けて連動させるという提案が、「患者さまに楽しんでいただきながら高度なリハビリを提供したい」という思いに合致した点。
・防災を中心としたBCP(事業継続計画)対策を考えるにあたり、建物の構造自体に高い信頼性を感じた点。
・施設づくりに関するさまざまな要望に対し、一つずつきめ細かく対応しながら、予算内・予定工期での完成の約束の上、実現できた点。
地域住民・医療機関・行政が待望していた、回復期リハ病棟
リハビリテーションフロアをガラス張りにすることによって印象的な外観に仕上がっています。病院・ガンマナイフセンターや老健とともに、道路から高台に立地しているため、建物からの眺望は患者さまから好評です。
1階の玄関ホールとエントランス部分。館内全体には、京都市立芸術大学の大学院生たちによる内装カラーデザインやサインデザイン等が採用されており、木を素材としたアート作品も展示されています。
2・3階の病床スペース。エレベーターホール等にアクセントカラーを採用し、一般的な病院のイメージとは異なる高級感を演出。また、フロアごとに色調に変化をつけています。
2・3階それぞれに、44席の食堂・談話室兼デイルームが設けられています。
全100床の回復期リハビリテーション病床。個室12室・4床室22室の構成になっています。
三方をガラスで囲まれた、明るい広さ約780㎡のリハビリテーションルーム。スロープや石畳など、路面変化をつけた屋根付きの屋外リハビリスペースも併設されています。
屋上にも歩行訓練などが行えるリハビリテーションエリアが設けられており、眺望を楽しみながら機能訓練を行うことができます。
(2016年9月/文責・編集 大和ハウス工業株式会社)





